だから、誰にも言えないでしょう?




「あーあ…。」

またやられた。
これで何度目だ?



現在俺は校舎裏の呼び出しに応じ、
しこたま殴られた後である。

相手は二年男子。
しかも複数である。



個人的に殴られて喜ぶような特殊な趣味は持ち合わせちゃいないんだが、
複数相手に対等以上に立ち向かえる武力の持ち合わせもない。


残念ながら。



結局持ち合わせた順応力と事なかれ主義な性格に任せ、
されるがままで終わるのを待つしかなかった。



そりゃ悔しいっちゃ悔しいし、理不尽だと怒ってもいるが。



今回は正直なとこ安心もしてた。


とりあえず俺が日常的に関わっている特殊な事情じゃないからだ。



今日のお呼び出しの理由は簡単。


朝比奈さんのファンの一派である。


何故俺かってーと、朝比奈さんに理不尽な仕打ちをしてる事(まあSOS団入団の経緯を考えると…。)と、
俺が馴れ馴れしいのが気にいらないとか。

いや、古泉もいるだろとは思ったが。
あいつは朝比奈さんと距離を置いてるからいい。

と、聞いてねえのに答えてくれた。



ついでに…結構よく見てるなあと感心した。



「ってぇ…。」


それよりこれからどうするか。


そろそろ最後の授業も終わるし、
保健室に行って…いや、それじゃ足がつく。



それでなくても心労の多いあいつらに迷惑はかけられんし…。



まあいいか。



服の上からは見えないように殴ってたし、
我慢すればなんとかなるだろう。




もう慣れてるんだよな。


嫌な慣れだが。





だから、大丈夫だ。


俺は大丈夫、だからな。






心配なんか



させたくない。



END





連載の冒頭と同じパターンですが、
少し痛々しさを多めに含めて。



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